蜩…

サマンサの街で、蜩の声を聴いた事はここに住まって40年ほどになりますが全くなかったんです。
ところが…家のドアの前に…小さなせみの亡骸がポツンと置かれて(なんとなくそんな感じ)いました。
サマンサは夏に生まれましたからか、暑さが苦手な割には夏の風情、とりわけ蜩のカナカナカナ…
と鳴く声が子供の頃から好きでした。
故郷では夏の夕暮れから秋の入り口あたりに、日が暮れる頃に必ずと言っていいほど聴こえた声。
しかし、蜩の姿はなかなか見た事はなかったんです。
それが、ここで?
こんな姿で…?
ちょっと哀しい、そして愛しい気持ちになって手に取りました。
土のあるところ、少し掘って、そっと埋葬です。
夏は行ってしまったと風が伝えてくれました。
風吹けば 蓮の浮葉に玉越えて 涼しくなりぬ 蜩の声
[ 俊頼]

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク